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【前編】採用オウンドメディア構築の裏側。社員同士のディスカッションから見えた“Linc'wellらしい文化”

2018年に創業したヘルスケアスタートアップのLinc'well(リンクウェル)は、医療機関オペレーションIT化支援(DX)事業やオンライン診療システム(SaaS)開発事業、ヘルスケアEC事業を手掛けています。企業として順調な成長を続けており、創業当初4人だったメンバーは、今や80人以上(2022年8月現在)になりました。

理想の医療を実現するべく、さらなる事業成長を目指して、私たちは採用活動に一層力を入れています。その活動の一環として、今年の春から新たに採用オウンドメディア構築のプロジェクトを立ち上げました。その取り組みを、前編・後編に分けて解説します。前編では、プロジェクト発足の経緯や、社員同士の情報交換のために行った3日にわたるディスカッションについてご紹介します。

採用は社員一丸となって対応する

まずは、Linc'wellがもともとどのような体制で採用活動を実施していたのかをご説明します。もともと、私たちは一連のオペレーションを外部の企業に任せており「組織のなかでどのような人を求めているのか」「何を社外にアピールするのか」などを、社内で議論する機会がありませんでした。

この状況を改善して、社員一丸となって仲間を募集するために、採用活動を自社で行うように体制変更を決めました。採用活動を大きく2つの工程に分けると、組織が求める人物像を決める/会社のことを社外にアピールするといった前段階の工程と、選考や面接などのオペレーションを実施する後段階の工程に分かれます。まずは後者を優先的に実施しました。

採用を手伝っていただいた会社からの引継ぎを経て、契約者やIDの管理など1つひとつ整理・集約。そして、採用活動の一連のプロセスを管理するためのATS(採用管理システム)を検討し、バックオフィスを内製化し、選考スピードの向上と安定化を目指しました。

それらの業務について詳細を述べると、「候補者の方とスムーズに連絡をとるにはどうしたらいいだろう」「どんなメッセージを送ればリンクウェルのことを知ってくれるだろう」「現場の社員は忙しいことを念頭に置きつつも、なるべく採用面接に出てもらうにはどのように依頼すればいいだろう」など、さまざまな関係者とスムーズに活動するために必要な仕組みを整えていきました。

私たちの想いを伝えたい。オウンドメディア構築の経緯

次に、採用オウンドメディア構築のプロジェクトを開始した経緯を書いていきます。数か月ほどで後工程がスムーズに運営できるようになり、先ほど述べた前工程である「Linc'wellという会社を知ってもらうこと」の設計にも手をつけることになりました。

これまで、外部のメディアに社員が登場したり、Wantedlyやnoteなどの媒体で情報発信したりといった活動はしていたものの、それらの情報が点在しており、かつ企業としてのコアコンセプトが明確になっていませんでした。Linc'wellがどのようなことを目指して、何をしている会社かがわかりにくかったのです。

2021年11月に約80億円の資金調達を実施したこともあり、世の中から「医療系スタートアップのひとつ」という認識は持っていただけたと思います。ですが、私たちがやり遂げたいこと、実現したい世界観などを正確に言語化できているのか、伝えられているのかという懸念がありました。

また、各職種の面接で「なんだか候補者がLinc'wellのカルチャーと合わない」という理由で不合格になってしまうことがありました。しかし、そのカルチャーとはいったい何なのかということが言語化されていませんでした。社員が10人いたら、それぞれが違う言葉でLinc'wellのことを説明してしまうような状況だったのです。

Linc'wellのことを伝えるうえでは、企業の企業が大切にする価値観やカルチャーを採用活動をする社員が理解している必要があります。そこで、オウンドメディアも社員を巻き込んで作ろうと決め、2022年4月頃からプロジェクトを始動しました。各部署から数名のメンバーに集まってもらい、3日間で計10時間程度のディスカッションをする機会を設けました。

ディスカッションの結果、見えてきたのは「実は、社員が大事にしているカルチャーはバラバラ“ではない”」ということです。根本にある考えはみな同じで、それを表出させる方法が揃っていませんでした。「最高の医療」という言葉1つをとっても、何が最高なのか考え方は人それぞれです。単語1つひとつの解像度を上げていくために対話を重ねました。3日間どのテーマにおいてもチームごとに対話し、言葉を収斂させていきました。

中途採用の方であれば、その人の過去のキャリアに応じて、コミュニケーションの“癖”のようなものが出ます。たとえばLinc'wellでは、コンサルティング企業をはじめ、社員数数万人規模のメーカー、IT企業、SaaS系スタートアップ企業など、多種多様なキャリアバックグラウンドの人々がいます。

働いてきた環境や文化が違えば、情報発信やコミュニケーションの仕方も千差万別です。ましてや、全員の認識を合わせるための場も、これまでは設けてきませんでしたから。そこで、全員と情報を共有して足並みを揃えるためにディスカッションをしようと考えていましたが、蓋を開けてみると「みんなが心のなかで考えていること」は同じでした。

社員同士のディスカッションを通して見えたもの

ここからは3日間行われたディスカッションの詳細について述べます。以下のフロー図には、採用広報活動において必要な要素がまとめられています。この内容に沿って活動を推進するうえで、必要な情報を明確にするためのディスカッションを進めていきました。

1日目のディスカッションでは以下のようなテーマで問いを立てました。

・Value(行動指針)をどのようなときに感じているか

Linc'wellには4つのValueがあります。

Patients first
現場に寄り添い、患者視点顧客視点第一に、あるべき医療を創ろう
Challenge status quo
既存の常識に常にチャレンジしよう。新たな価値は常識の外にある
Respect diversity
多様性を尊重しよう。チームでしか出せない価値がある
Complete Work
諦めないでやりきろう。答えを待っている人がいる

これらは私たちが大事にしている考え方であり、Valueに共感して体現できると、Linc'wellでの仕事はより面白くなります。社員が業務のなかでValueをどのようなときに感じるのかを具体的に知りたくて、このような問いを立てました。

社員それぞれが考えや自分の思い・考えをメモに書き出していき、グループごとに意見をまとめてプレゼンするワークショップ形式で、4時間ほどじっくりと時間をかけて実施。その結果として社員がお互いに価値観を共有でき、相互理解を深められました。

ディスカッションや発表の様子。

2日目はLinc'wellの特徴についての問いを立て、以下のようなディスカッションをしました。

・入社理由は何ですか
・働きがいはどうですか
・どのようなカルチャーだと思いますか
・どのような人を求めていますか

3日目は2日目で挙がった意見をふまえ、求める人物像への訴求点や未来の仲間に向けて自分が考えていること、取り組んでいることをディスカッションしました。

・求める人への訴求点はどこか
・自分はどのようなことを実現したいか、何をしているのか

ディスカッションを行う過程で「ビジネスサイド、エンジニアなどそれぞれの職種から見たLinc'wellは、少しずつ違う形をしていること」「けれど、みんなが目指しているゴールは一緒であること」が見えてきました。

ディスカッションで出てきた言葉のなかで、印象的なものがいくつもあります。ValueのひとつであるComplete Workについて「これでいいかなと思ったところから、もう一歩踏み込んで考える力」「やったことのない仕事、知らない分野の仕事を、成長の機会と捉えられる力」と答えた社員がいました。

また、CRMチームが発足したとき、患者さんへの対応に対するフィードバックとして、上司から、「put yourself in someone's shoes(あなた自身を誰か他の人の靴の中に置いてみる)」という言葉をかけられたそうです。

相手の立場に立って考えるという意味ですが、これが患者さんの気持ちに寄り添ってサービスをプロデュースするLinc'wellの大切にしている価値観にも通じています。組織を牽引する人がそういったマインドを持ち、徹底している。それを社内にも社外にも伝えていくことが大切だと、私たちは実感しました。

〜後編に続きます〜〜

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